伏魔殿とはどういう意味で 語源は? どういう時に使うのか/ふくまでん
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最終更新日:2019/11/17
言葉
私が「伏魔殿」(ふくまでん)という言葉を初めて聞いたのは、2001年の田中眞紀子元外務大臣の発言。
田中眞紀子氏は、当時、人事問題などで対立していた外務省のことを「伏魔殿のようなところ」と表現し、話題になりました。
ちなみに、読み方は「ふくまでん」であって、「ふしまでん」とか「ふまでん」ではありませんよ。
最近では、2016年9月に、東京都の豊洲市場問題について、石原慎太郎元東京都知事が「東京都は伏魔殿だね」と発言し、注目されています。
政治家は「伏魔殿」という言葉が好きですね。
字面からしたら、悪魔が潜んでいる場所という意味で、良い意味では全くないのは分かります。
「潜んでいる」のですから、一見すぐは分からないものの、たくさん隠れているということかと思いましたが、詳しい意味や語源が気になったので、調べてみました。
「伏魔殿」(ふくまでん)とはどういう意味?
伏魔殿の意味 → 悪魔が隠れている殿堂。つねに陰謀や悪事が企まれている所。悪の根城。
とくに問題ない人たちの中にちょこちょこっと悪い人が紛れているイメージかと思いましたが、「つねに」悪事が行われているというと、もう皆、悪者ばかりという感じで、思っていたより、悪いイメージです。
伏魔殿(ふくまでん)の語源は何?
伏魔殿の語源としては2つあります。
- 中国の歴史小説『水滸伝』(15世紀頃)の冒頭に登場する建物で、魔王が封印された場所。唐の時代、道士である洞玄国師が龍虎山に魔王を封じ込めて、建てられたのが伏魔殿。
- イギリスの詩人ジョン・ミルトン(1608〜1674年)の作品『失楽園』に登場する都市の名前。地獄の首都パンデモニウム。悪魔の集う場所という意味で、これをは「万魔殿」「大魔殿」とも訳された。元々ある「パンテオン(万神殿)」という言葉をもじったもの。
「水滸伝」は、中国で書かれた伝奇歴史小説の「中国四大奇書」の一つ。
「失楽園」は、「狂えるオルランド」(アリオスト)や「神曲」(ダンテ)と並ぶ長編叙事詩の名作とされています。
「伏魔殿」の語源とされている作品は、いずれも15世紀頃と歴史は古いです。日本で日常的に使われるようになったのはいつからなのかは、分かりませんでした。
最後に
「伏魔殿」(ふくまでん)は「悪魔のひそむ場所」という意味からして、決して良い言葉ではなく、人を批判することになるので、普通の人は、できるだけ使わないほうがいいでしょう。分かりやすく言ったら、「悪の巣窟」と言っているようなものです。
例えば「PTAは伏魔殿だ」などと言ったら、感じが悪いですよね。仮に、伏魔殿であることが事実だとしても、多くの人は、そう発言した人に、いい印象を抱かないでしょう。
批判するにしても、もっと違う表現のほうが、人間関係がうまくいくと思いますよ。
田中眞紀子元外務大臣も、当時「あまり言葉がよろしくないが」と前置きしています。よくない言葉なら、できれば、飲み込んだほうが賢明です。
政治家は、過激な発言をして、メディアで注目されるのでいいのでしょうけれど、人を傷つけないように生きたい人は、使うことのない言葉かも知れませんね。
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